第80章 最終章・もう1つの花言葉
「それは、了承ととらえて、いいんだな…?」
「は…はい…そうです…私も、兵長と結婚…したいです…!!」
泣きじゃくりながらもやっと素直なったクレアにリヴァイは大きく安堵の溜息をつくと、ギュッと力強く抱きしめた。
「遠回りして待たせた分、ちゃんと幸せにする…クレア、愛してる…」
「…!?…兵長…今、なんて…?」
聞き慣れない言葉に、クレアはパッと顔を上げてリヴァイを見上げた。
「愛してると、言ったんだ…2人の関係が中途半端な時には言う勇気がなかった。だが今なら言える。もう俺達は夫婦になるんだからな…」
「兵長……」
「俺が、聞いていなかったと思うなよ?」
「え……?!」
「あの時、お前を初めて抱いた次の日に俺に言った言葉だ。」
「私…どんな事を言ったんですか?」
「覚えてないのか?“キンモクセイのもう1つの花言葉”だ…」
「あ……」
クレアは忘れてはいなかった。
あの時、調子にのりつい口を滑らせてしまいそうになった言葉。
キンモクセイの花言葉は“初恋”。
そしてもう1つの花言葉は…、過酷な調査兵団の兵士同士の恋にはあまりにも重すぎる言葉だったため、当時のクレアは“ド忘れ”したと、誤魔化してしまった。
あの時リヴァイは花言葉など、そんなに興味のない素振りをしていたため、自分の気持ちにリヴァイが気づいていたなんて…知らなかった。
「“真実の愛”…だろ?」
「は、はい……」
そう、キンモクセイのもう1つの花言葉は、“真実の愛”。
「あの時のお前の表情は、言ってはいけない事を口走ってしまったと言いたげな顔だっからな。後から調べてその理由を知ってから…俺も今日まで黙っていた。でももう、我慢する必要はない…存分に使ってやる…」