第80章 最終章・もう1つの花言葉
ー堂々と守る事ができるー
リヴァイの言葉がクレアの頭の中で何度もリフレインする。
今のままでも十分に幸せと言った事に嘘はない。
だが、これからもずっとリヴァイの側にいたいと思えば思う程、恋人というあやふやな関係では難しい事も沢山出てくるだろう。
「本当はもっと早くこの気持ちを伝えたかったが、さすがにウォール・マリア奪還作戦の前後は言いたくても言えなかった。だから、シガンシナ区の復旧が進んで、墓を建てる事ができたら伝えようと決めていたんだ…遅くなって、すまなかったな…」
「そう…だったのですね……」
リヴァイは、2人の未来について話した事は1度もなかったが、だからといって何も考えていないわけではなかった。
自身との事を真剣に考えてくれていたリヴァイに、自然と目頭から熱いものが込み上げてくる。
「クレア…お前の両親と、キンモクセイの花に誓う。この命ある限り必ず守ると…だから…俺と結婚して欲しい…」
「………っ!!」
リヴァイの真剣な想いに、返事をするより先に涙が頬を伝ってしまったクレア。
大好きなリヴァイが、これから先の人生を夫婦として、家族として側にいてくれる。
本当にこんな幸せを…自分なんかが手にして良いのだろうか。
それはあまりにも大きな幸せで、手にするのが少し怖くなってしまう。
でも、断る事なんてできない。
少し怖くても、不安でも、リヴァイが一緒なのだ。
2人で一緒に幸せになるために、勇気を出して一歩前に進んでみたいと思う。
「兵長…私、嬉しいです…」
クレアは溢れる涙を止める事ができず、顔をグシャグシャに濡らしながら答えた。