第12章 奇行種の休日
──翌朝──
朝食と身支度を終えたクレアは愛馬デイジーに乗り走っていた。
フレイアとエルドも一緒だ。
クレアは昨夜フレイアから妹のいる孤児院へ一緒に会いに行かないか誘われていた。
フレイアの話によると、壁外調査が終わったら会いに行くと手紙を書いたら、クレアにも会いたいと返事が返ってきたそうなのだ。
当然のことながらエルドと一緒のところを邪魔したくはなかったので、一度は断ったが、フレイアの妹がどうしても会いたがってるとのことで、無下にはできなかった。
「フレイア、本当に私……邪魔じゃない?」
「もう!何度も言わせないで!マリアも会いたがってるし、エルドさんとは明日も一緒にいれるから大丈夫!」
「う…うん…」
孤児院には昼前には到着した。
こじんまりとした小規模の施設で、ここにいる子供たちはみなシガンシナ区の巨人襲来で親を亡くした子たちだ。
フレイアが面会の受付を済ませると、小さな庭に案内された。
特に遊具もない小さな庭に5人ほどの子供がボールで遊んでいた。
その中に肩までの黒髪をお下げに三つ編みした女の子がこちらを振り向くと、ぱぁっとキラキラの笑顔になりこちらに飛んできた。
「お姉ちゃーん!!!」
「マリア!!!」
マリアは久しぶりの姉との対面に大喜びだった。
「お姉ちゃん、よかった!無事に壁外調査から帰ってこれたのね。」
「うん…元気そうでよかったわマリア。」
久しぶりの再会に喜ぶ姉妹の姿を見てクレアの目頭は自然と熱くなった。
自分には兄弟もいなかったし、親も亡くなってしまったため、再会できる肉親は1人もいない。
少しフレイア姉妹が羨ましくなった。
「ほら、マリア。会いたがってたクレアを連れてきたわよ。あと手紙には書いてなかったけど、紹介したくて一緒に来てくれたの。エルドさんよ。」
「エルドさん…?こんにちは…」
ちょっと照れくさそうに挨拶する姿が可愛い。
エルドは膝をついて目線を合わせると頭を撫でながら挨拶をした。
「マリアちゃん、はじめまして。エルド・ジンです。宜しくね。」
すると……
「エルドさんはお姉ちゃんのカレシなの?」
予想外もしなかった質問にフレイアもエルドも顔を真っ赤にして言葉に詰まってしまった。