第80章 最終章・もう1つの花言葉
「け、け、結婚って…そんなの…わかるわけないじゃないですか……」
「だからお前は無自覚鈍感奇行種なんだ…はぁ、やっと伝わったな。」
「伝わったも何も…兵長がどうして…そんな事…」
リヴァイとは結婚の話など1度だってした事がない。
結婚の話どころか近い未来の話でさえした事がなかったのだ。
いきなりそんな話をされて驚かない方がおかしい。
「何だよ…俺がクレアと結婚したいと言うのがそんなに変か?」
「だって兵長…そんな事、全然仰ってなかったから…私と兵長はずっとこのままだと思っていたんです。現に今まで調査兵団で結婚という選択をされた方はいらっしゃいませんでした。だから、兵長も結婚を考えてるとは思いませんでした。私自身も、今のままで十分幸せだったので…」
「確かに…そうだが……」
クレアの言う通り、こんな話は1度だってした事なかった。
リヴァイはずっとこんな未来を夢みていたが、クレアは違ったようだ。
過酷すぎる調査兵団。
明るく幸せな未来を夢見ることすらしないのが当たり前になっていたのだろう。
仕事内容からいっても、そう考えてしまうのも無理はない。
しかし、だからといってここで話を終わりにするわけにはいかない。
リヴァイは少し考え込んでから再度口を開く。
「そしたら…考えろ。」
「兵長…?」
「俺も今までちゃんと話した事なかったからな。お前が考えた事もなかったというのなら、それでもいい…」
「…………」
「その代わりに、今から考えろ。今俺が言った事をクレアはどう思って、どうしたいのか…ちゃんと聞かせてくれ…」