第80章 最終章・もう1つの花言葉
「俺達調査兵団は、多くの犠牲を出しながらもウォール・マリアを奪還する事に成功した。まぁ、獣と鎧は仕留め損ねちまったから、まだ戦いが終わったわけではない…だが俺はウォール・マリアを奪還する事ができたら…こうすると決めていた。」
「こうするとは…どういう事…でしょうか…?」
「お前の両親と…キンモクセイの花の前で、誓う事だ。」
「誓う…ですか?兵長は…いったい何を誓うのですか?」
「……………」
ここまで言ってもわからないクレアに、リヴァイの頭は若干痛んだが、リヴァイ自身もそこまで語彙力がある方ではない。
無自覚鈍感奇行種クレアに語彙力低めのリヴァイ。
もっとわかりやすくストレートに言わないと伝わらないようだ。
「…これからもずっと変わらぬ想いで、側にいるという事だ。」
「え……?」
「ったく…まだわからねぇのかよ!」
「そ、そんなの…わからないですよ…今日の兵長、なんか変です…どうしちゃったんですか?!」
「この鈍感奇行種が…」
なかなか言いたい事が伝わらず、クレアの肩を掴んでる手に思わず力が入ってしまうが、もうここまできたら引き返せない。
リヴァイはこうなったら勢いで言ってやると半ばヤケになり叫んだ。
「おい、結婚しようって言ってるのが、わからねぇのかよ!!!」
「…………!?」
リヴァイの叫び声が直接クレアの脳に響いたのか、大きな蒼い瞳が戸惑い揺れる。
「……な、何とか言えよ。」
黙ってしまったクレアは両手を口元に当ててカタカタと小さく震えだした。
この反応を見れば、リヴァイの言わんとしていた事をやっと理解したようだ。