第80章 最終章・もう1つの花言葉
「クレアの…両親だからだ。」
「わたしの…両親だから…ですか?」
「そうだ。お前という存在をこの世に生み出し、育てた両親だからだ。俺は親というのをよく知らないから偉そうな事は言えないが…この2人がいなければ俺はクレアに出会う事もなかった…それに好きな女の両親だ。敬意を払って墓を建てたいと思っても不思議ではないだろ。」
「…そう…かもしれないですが…あ、あの…決して嫌だと思ってるわけではありません…ですが……」
自分の両親を気にかけてくれていたのはわかった。
リヴァイの言ってる事は理解できなくはなかったが、それ故にいまいちピンともこなかった。
そのため素っ頓狂な表情でリヴァイを見つめてしまうクレア。
「……………」
確かにクレアの言う事ももっともだ。
いくら大切な恋人の両親だからといっても、勝手に墓を建てられれば驚きもする。
なぜ何の断りもなく墓を建てたのか疑問に思うのは至極当然だ。
だがリヴァイにだってちゃんとした理由があり、墓を建て、クレアをここに連れてきたのだ。
もうずっと前からこうすると決めていていた。
否、こうしたかった。
元から迷いなどない。
ただ人生をかけた大勝負、らしくもなく緊張をしてしまっただけだ。
頭に疑問符を浮かべながら自身を見つめるクレアを見て、リヴァイは小さくため息をつくと、ちゃんとしなくてはと腹をくくる。
「…大事な話をするからちゃんと聞いてろよ…」
「兵長?」
気難しそうな顔がさらに難しくなると、握っていた手を両肩に置き、リヴァイはグッと力をこめてクレアを見た。