第80章 最終章・もう1つの花言葉
すると、クレアの部屋に入ったリヴァイは、差し出されたイスにかけずに早々に要件をつげる。
「そうか、それなら好都合だ。これから出かけるからさっさと着替えろ…」
「え?どこに行くんですか?」
「まだ秘密だ。」
「そ、そんなぁ…」
出かけるのは勿論構わないのだが、行き先がわからないとなると服選びに困ってしまう。
せめてどんな所かだけでも教えて欲しかったのだが…
「服は…そうだな。ほら、これでいい。」
リヴァイはクレアのクローゼットを勝手に開いて数秒考えると黒いワンピースに手を伸ばし、クレアに渡した。
「…………」
渡されたワンピースは普段着というよりは少しよそゆき風だ。
大衆食堂に行く…という感じではなさそうだ。
「わ、わかりました…とりあえず着替えますので……」
クレアはワンピースからハンガーを抜き取り着替えを始めようとしたが、その様子を見たリヴァイは今になってイスに腰掛けてしまう。
これでは着替えられないではないか。
「あ、あの…誠に申し上げにくのですが…すぐに着替えますので…その…一旦席を外してもらえませんか?」
「あ…?!」
言葉を選んで丁寧に断りを入れたつもりだったが、リヴァイの眉間には深いシワ。
その上不機嫌そうに睨まれてしまった。
「で、ですから……」
服を着替えるには当然だが今着ている服を脱がなくてはならない。
普通は異性が目の前にいたらできない。
いくら身体を重ねた恋人同士だからといって、あけすけに服を脱げるものではない。
何故それがわからないのだ。