第80章 最終章・もう1つの花言葉
そんな様子がかえってリヴァイの逆鱗に触れたのか、今すぐ出て行けと言ったが、ハンジは編入を希望する大事な書類を持ってきたのだ。
個人的な要件で追い返すなどできない。
「あ、あ、あ、あの!!私!!紅茶淹れますのでお2人ともお掛けになって下さい!!テーブルに置いてあるのは私が作ったクッキーです。ハンジさんのもありますのでどうぞ召し上がってください。」
「え?!クレアの手作り?コレ私のなの?やったーー!小腹が減ってたんだよね〜!うあ、うんめー!!」
「チッ……」
ハンジはなんの遠慮もなく応接セットのソファにどっかりと座ると包みをあけてバクバクと食べ始める。
そんな姿にリヴァイは隠す事なく堂々と苛立って見せた。
「兵長…?編入を希望してくれてる方の大事な資料です。私は紅茶を淹れたら失礼しますので…ゆっくりご覧になって下さい…」
そう言ってササッと服を整えると、クレアはコンロに火をつけ紅茶の準備を再開させた。
「はぁ……」
中途半端な所でおあずけをくらったリヴァイは盛大にため息をつきながらハンジの向かいに腰掛けた。
「お待たせしました。どうぞ…」
「おーう!ありがとう!!いただきまーす!!んん!最高ー!!」
「…悪くない。」
2人ともクレアの紅茶を飲むのは久しぶりだ。
機嫌を損ねていたリヴァイも奥深い紅茶の味に自然と表情が緩んでしまう。
「では、私はこれで失礼致します……」
ギスギスした空気が和らぐと、クレアはホッと胸を撫でおろしてリヴァイの執務室を後にした。