第80章 最終章・もう1つの花言葉
「あなたは女神様ですか?!」
“お菓子パーティー”という魅力あふれる催しに、ワナワナと打ち震えるサシャ。
サシャの好物はなんといっても肉だ。
しかし、それ以上に食べる事が大好きなサシャは、差し出されればパンでも芋でも歓喜の声を上げながらかぶりつく。
そんなサシャが、砂糖やバターを使った甘い菓子に飛びつかないわけがない。
料理も上手なクレアが菓子を振る舞うと聞いたサシャの興奮メーターは、一瞬で振り切ってしまったようだ。
目の前にいるクレアが、神々しく光り輝く神に見えてしまうのも頷ける。
「ふふ、私はしがない新米医師よ。ほら、そしたらみんなそろそろいい時間なんじゃない?遅れたら怒られちゃうわよ。」
「あ、本当だ!!」
「や、やばっ!!」
「急がないと…」
食堂の時計を見ると、本当にいい時間だった。
遅刻をしてはリヴァイから何を言われるかわかったもんじゃない。
トイレ掃除を命じらるのは御免とばかりに席を立ち上がると、皆風のようにバタバタと食堂から出て行った。
「クレアさんすみません…!!僕達お先に失礼します!!」
「今夜楽しみにしています!!」
「うん!みんな頑張って!いってらっしゃーい!!」
手を振って見送ると、食堂に残っているのはクレア1人だけ。
さっきまで騒いでいたのが嘘のように静まり返っている。
「さて、何を作ってあげようかしら…料理を振る舞うのなんて久しぶりだから、少し緊張しちゃうな。」
クレアはポケットからメモを出すと、クッキーやケーキなどのレシピを考え始めた。