第80章 最終章・もう1つの花言葉
「ちょっと…!みんな、やめてよ…」
「クレアさん…変な目でクレアさんを見てるの、ジャンだけじゃありません。もう少し自覚して下さい…」
「おい!ミカサ!!変な目なんかしてねぇよ!」
「クレアさんにセクハラする奴は…許さない…」
「ミ、ミカサまで…!!」
ミカサは編入してきた兵士が、クレアの事を影で噂していたり、兵舎内ですれ違う時にチラチラと見ているのを敏感に感じとっていたが、無自覚で鈍感なクレアはそんな事にまったく気付いていない。
そのため、ミカサの忠告にも頭に疑問符を浮かべてしまう始末だ。
「と、とにかく…!!無理をして欲しくないのはわかってくれたかしら?あなた達はウォール・マリア奪還作戦を逞しく生き抜いた兵士なのだから。何かあったらすぐに相談しにきてね!!」
訓練内容は中々厳しいようだが、ひとまず元気な様子にクレアは安心したが、はしゃいだついでにサシャがとんでもない質問を投げかけてきた。
「そうだ!!クレアさんって、いつ兵長と結婚するんですかー?」
「ブーーーーーーッ!!!」
スープを一気に飲干したサシャは口元を袖で拭うと、“ハイハイ!!”と挙手をしながらサラッと言ってのける。
あまりにも突拍子のない質問に驚いたクレアは、口に含んでいた水を向かいに座っていたジャンに思い切り吹きかけてしまった。
「キャァァ!!ご、ごめんなさい!!」
「あ、いや…大丈夫です…気にしないで下さい!!」
クレアは慌ててハンカチを差し出したが、ジャンは小さく手を振って断ると、自身のハンカチを出して顔を拭いた。