第79章 海を見に行こう!
「ん……!!んん!!」
突然の強引な口付けにクレアの頭の中はパニック状態だ。
自分の知る限り、今までリヴァイは人前でこんな事はしなかった。
いったいどうしてしまったのだろうか。
確認したくても、強引な口付けは深い口付けにと変わり、頬に添えられた両手は後頭部にスライドして御丁寧にも逃げられないようにブロックされてしまっている。
こんな状況を見られているなんて顔から火が出そうな程恥ずかしい。
しかし、どうする事もできない。
結局クレアはわけがわからぬままリヴァイの口付けを受け止める事しかできなかった。
濃厚に交わる事数十秒。
やっと解放されたクレアは息を上げながら抗議をしようとしたのたが、唇が離れるとすぐに抱きしめられてしまう。
「ふ、ふぐぅ……へ、兵長…?!みなさんがいる前でこんな事するなんて…いったいどうしちゃったんですか?!」
リヴァイの胸に埋もれた顔を何とか上に向けてクレアは訴えたのだが……
「どうもしてねぇよ。ただ、したくなったからしただけだ…何が悪い?」
「…………」
返ってきたのは悪びれる様子もないあっさりとした返事だった。
いつものリヴァイとは違う。
そう思ったクレアだったが、それ以上は何も言えなかった。
なんとなくだが、リヴァイが楽しそうに見えたのだ。
幼少期から厳しい環境を生き抜いてきたリヴァイは、積極的に物事を楽しもうとする性格ではない。
育った環境が、楽しむという事を自然と遠ざけていたのだろう。
そんなリヴァイがこの状況を楽しんでくれているのなら、恥ずかしい気持ちもあるが、それと同時に少し嬉しくもある。