第79章 海を見に行こう!
クレアはピョンと飛んで海に入ろうとしたのだが、タイミング悪く波が引いてしまった。
「…え?!…え?!」
何が起こったのか一瞬わからなくなったが、すぐに次の波がきて、クレアの脛の辺りまでを勢いよく濡らしていった。
「ひゃあぁぁぁ!!!」
勢いよく向かってきたと思ったらすぐに引いてしまう。
「あぁぁぁ!!!」
そしてすぐまたやってくる。
「ひぃぃぃ!!な、な、何ですかコレは!!!」
「何って…海だろう?」
「そ、それはそうなのですが…この波は…いったい…えと…へ、壁内には川や湖があります。風が吹けば水面が揺れて、小さな波ができますが…今ここは、こんなに大量の水が波立つ程の風は吹いてません!!なぜこんなに大きな波が!なぜこんなに規則的にやってくるんですか?!」
「…俺も初めて見たからな…わからねぇな。」
これは、海を知らない人間がまず最初に思う疑問だろう。
クレアは初めて体験する感覚に興奮が抑えきれず、両手を大きく広げ身振り手振りリヴァイに訴えるが、リヴァイも初めて海を見るのだ。
当然だが答えてやる事はできない。
「で、ですよね…すみません…ちょっと気が昂ぶりました…ひっ!ひぃぃぃぃ!!」
興奮で我を忘れてしまった事を、少し照れ臭そうにしたクレアだったが、またすぐに裏返った声を上げてリヴァイのジャケットの裾をギュッと掴んでしまう。
「どうした…?!」
「な、なんか…!!波が引く時に砂が…砂がぁぁぁぁ!!!ひぃぃ!!」
クレアは足元の砂が波に持っていかれる感触がなんとも言えない感覚になり、変な悲鳴をあげてしまっていたのだ。