第79章 海を見に行こう!
「ハンジのやつ何やってるんだ…酔っ払ってんのか?」
「砂に足を取られてるんじゃないでしょうか…?あ、また転んだ…」
盛大に砂を巻き上げ豪快に転ぶと、ハンジはブーツを脱ぎ捨ててズボンの裾を膝まで捲くり上げた。
「アハハハ!すっげー歩きにくい!!おーい!!みんなこっちこないのー?!!」
裸足になって海に飛び込んで行くハンジの姿を見た104期も、馬からおりると我先にと走り出す。
「あぁぁぁぁぁい!!!」
「め、目がぁぁぁぁ!!!」
「うぉぉぉ!!!しょっぺぇ!!!」
「ひぃ!!!」
海に入って行ったジャン達は子供に戻ってしまったかのようにはしゃぎだした。
海水をかけあっては叫び、口に入っても叫び、波に足を取られては叫びと、あちこちから叫び声が聞こえてくる。
いつもクールなミカサでさえ小さな悲鳴を上げながら笑っていた。
そんな楽しそうな姿に自然とクレアの表情も明るくなる。
「私達、本当に…巨人を掃討して…海まで来たんですね…」
「…あぁ…そうだ。」
リヴァイはダスゲニーからクレアをおろすと、そのまま横抱きにして波打ち際まで連れて行った。
「みんな、楽しそうですね…」
「ハッ、ガキみてぇに騒ぎやがって…」
「ふふ、いいじゃないですか。みんな…まだ15歳、16歳なんです。あんな過酷で…残酷なクーデターにウォール・マリア奪還作戦を戦い抜いたんですよ。今日くらい、許してあげましょう?」
「…チッ…仕方ねぇな。」
今度は海の向こう側にいる脅威と戦わなければならないのだ。
リヴァイはクレアの“許してあげましょう”という言葉に小さなため息をつくと、やれやれと口角を上げた。