第79章 海を見に行こう!
「なんだコイツは…動けないのか…?」
「…おそらく、少しずつ這って壁まで進もうとしたのではないでしょうか?とても長い時間をかけて…でも力尽きてしまってるようですね…」
「あぁ…そうみてぇだな…」
よく見れば身体の割に手も脚も異常に細くて短い。
巨人化に失敗し、歩く事ができなかったのだろう。
「おいハンジ!!かなり走ったが巨人はこの出来損ないが1体。お前の読み通りだったみたいだな。」
「…リヴァイも、そう思う?」
「あぁ、どうやら俺達は奴らを1年でほぼ淘汰しちまったらしい。」
「そうみたいだね!!そんじゃ、予定通り、目的の場所を目指そう!!」
ハンジは南の方角を指さして皆に声をかけると、再び馬を走らせた。
「兵長…本当に、本当に巨人はいなくなったんでしょうか…?」
「シガンシナ区を出てだいぶたつ。淘汰できていないならとっくに出くわしてると思うがな…」
ハンジの読みを疑うわけではないが、幾度となく調査兵団を窮地に追い込んできた存在が巨人だ。
不意をついてまたどこかから出てくるんじゃないかと思ったが、無垢の巨人は知性を持っていないのだ。
リヴァイの言う通り、いるならとっくに出くわしている筈だ。
シガンシナ区を出てやっと現れたのがあの巨人1体のみ。
巨人の掃討。
本当にそんな事が叶ったのだろうか。
クレアの中に少しずつ希望と期待がわいてくると、前方にいるエレンが声をあげた。
「ハンジさん、兵長!!もうすぐだと思います!」
「本当か?!」
「はい!!この香り…俺は初めてですが…親父の記憶の中に残っていた香りと…一致します…」