第78章 頑張ったご褒美は…??
「兵長……」
「そうそう!リヴァイの言う通り!!私はウォール・マリア奪還作戦を生き残った10人で海を見たい!!クレアは足手まといなんかじゃない!今まで命をかけて戦って、そしてこれからは医師としてこの兵団を、人類を守るんだ。壁外に出るにあたって、今のクレアに足りない所は、私とリヴァイがカバーする。だからさ、見に行こうよ!!海!!ね?!」
ハンジは興奮気味にクレアの手を握って熱く語ると、リヴァイも反対側の手をそっと握った。
「ここまで言わせておいて“嫌だ”とは言わせねぇぞ。」
「ハンジさん…兵長……」
握られた両手から2人の優しさが流れ込み、自然と涙が頬を伝った。
ウォール・マリア奪還作戦の前夜に厩舎の中から聞こえた海の話。
あの時、アルミンの話を聞いて、クレアも海を見てみたいと思ったのは事実だ。
しかし、片脚を失ってしまったクレアは、自身を“退役した負傷兵”だと言い聞かせ、自然と海を見に行く事を諦めていたのだ。
それなのに、ハンジとリヴァイはなんてない顔で行こうと言う。
クレアのハンディキャップなど、まったく重荷には思っていないようだ。
そんな風に誘われてしまえばもう何も言えなくなってしまう。
「で、クレア?行くの?行かないの?どっちなの?」
にこにこと返事を急かすハンジにクレアは顔を涙でグシャグシャにしながら答える。
「い…行きたいです……私も、皆さんと一緒に…海…見たい…です……!!」
「最初からそう言えばいいんだよ。クレアは何も心配しなくていい…」
「うぅ……兵長も、ありがとうございます!!」