第78章 頑張ったご褒美は…??
「…………」
かつてアルミンが見たという本の内容が正しければ…
そしてエレンの中に残る記憶が正しければ…
ハンジの言う通り、美しき海の向こう側に存在する“脅威”の排除をしなければ、壁内人類の命は変わらずに危険なままだ。
本格的な戦闘が始まる前の最後のチャンスと言われれば最後のチャンスだ。
だからと言って自分が同行すれば確実にお荷物は決定事項。
お荷物だけならまだいい。
自分のせいで誰かが死んだりなどしたら、今の兵団の貴重な戦力を奪ってしまう事になる。
さすがに二つ返事でYESとは答えられなかった。
「お、お気持ちは嬉しいのですが…私はもう立体機動装置は使えません。こんな足手まといを連れて行って誰かに取り返しのつかない事があったらと考えると…さすがに……」
「…クレアはそう言うと思った…でもね、シガンシナ区に派遣された駐屯兵団の報告だと、もうずっと巨人の姿を確認していないそうなんだ。」
「え…?…巨人の姿を確認していない…ですか?」
「うん!まぁ、望遠鏡で見れる範囲の話なんだけど…でも、私はもう壁の外に巨人はいないんじゃないかと思ってる。だって、以前は肉眼で見える範囲に何体もうろついている姿を確認できたのに…それがずっと長期に渡って確認されていないんだ!私は、巨人を掃討できたんだと…信じたい!!」
ここまで言うと、ずっと黙っていたリヴァイもハンジの言葉を後押しするように口を開く。
「…退役したとはいえ、クレアはウォール・マリア奪還作戦で勇敢に戦い生き残った兵士だ。だから俺は、お前と一緒に海を見に行きたい。何かあれば必ず俺が守る。他の奴の手は借りねぇ。それなら…いいか?」