第78章 頑張ったご褒美は…??
「兵長もハンジさんもお酒に強いのに…お酒に酔って倒れてしまったんですか?」
「アハ…ま、まぁ…ね。」 「…………」
クレアの問いかけに、ハンジは変わらす歯切れが悪く、リヴァイはむすくれて黙ったままだ。
しかし、このままはぐらかすわけにもいかず、ハンジは気不味そうに苦笑いをしながらも事のあらましを話し始めた。
「実はね、壁外調査にクレアも連れて行きたいってリヴァイと話してたんだ。」
「え?私を壁外調査に…ですか?」
「うん。」
「えぇ?!」
自分は退役した負傷兵だ。
長い眠りから目を覚ました時より体力はある程度戻ったが、それでも1日の大半は車椅子での生活だ。
立体機動装置を使うのはもう不可能だろう。
そんな自分を壁外調査に同行させるとは…
2人とも何を考えているのだ。
わけがわからずポカンとしていると、ハンジはクレアの頬を指でつつきながら続ける。
「一緒に海を見に行こうと思って…ね?」
「海…ですか…?」
「アルミンが言っていた。商人が一生かけても取り尽くせない程の巨大な塩の湖が海だって。アルミンが幼少期に見た本の話では、それはそれは美しくて巨大な湖なんだって。そんな美しい景色がこの壁の外にあるのなら、クレアにも見せてあげたいって…リヴァイも私も、そう思ったんだ。」
「ハンジさん…兵長…」
「エレンの中にある記憶によれば、南に真っ直ぐ行くと海に辿り着くらしい。だから今回の壁外調査は、その海という我々の知らない未知なるモノを確認しに行くのが目的なんだ。その海が本当にあると確認できれば、もうそれ以降は本格的に“脅威”を排除する動きになる。だから、クレアに壁の外の景色を見せてやれるのは、これが最後かもしれないんだ。」