第77章 自称・約束を守る誠実な男
「あ…今は薬を飲んでいるので、痛くありません…気を遣わせてしまって、すみません…」
「謝らなくていい。痛くなったら言えよ…」
「は、はい……」
素直に応じたクレアに、リヴァイは思わず性急に求めてしまいたくなったがすんでの所でとどまった。
時間はあるのだ。
自身にそう言い聞かせてリヴァイはクレアの部屋着のボタンを上からゆっくりと外していった。
臍のあたりまで外し終え、左右にはだけさせると、傷1つない真っ白な素肌がカーテンの隙間から差し込む月明かりに照らされている。
眩いまでに白く美しい肌には傷も、シミも何もない。
兵士をやっていれば傷の1つや2つなど当たり前。
生きている事で精一杯の調査兵に、傷跡があーだのこーだの言う余裕などない。
しかしクレアはそんな厳しい状況下でも傷跡1つ作らないまま調査兵を引退した。
それだけでも、クレアがどれ程優秀な兵士だったかがわかる。
「兵長……あの、カーテン、ちゃんと閉めたい…です…」
月明かりに照らされた身体をじっと見つめられる事に恥ずかしくなったのか、クレアはカーテンを閉めてくれと懇願するが、こんな絶景を暗闇に変える事などできず、リヴァイはバッサリと断った。
「駄目だ…この月明かりがなければちゃんと見えないだろ。だから、このままだ。」
「そ…そんなぁ……」
クレアは何故ベッドにダイブする前にきっちりカーテンを閉めなかったのかといまさらながら大後悔をするが、時既に遅しだ。
「もう諦めろ。」
いつまでも恥ずかしがるクレアをよそに、リヴァイはクレアの両手首を拘束したまま首元に唇を付けた。