第11章 奇行種の初陣
「クレアも!無事でよかった!まぁ主席で卒業のクレアは死んだりしないって信じてたけどね!てか凄い血だけどケガはしてないの?」
「これは返り血だから大丈夫。こんなに噴き出すとは思わなくて…」
「すごい!初陣で討伐したの?私なんか怖くなっちゃって…途中からよく覚えてないの…」
「でも生きて帰ってこれたもん!私達立派に一人前だよ!」
2人は安堵の表情で見つめ合った。
時同じくしてリヴァイ班も戻ってきていた。
リヴァイはクレアの安否を確認したかったが、今はすぐにでも馬を休ませなければいけない。
焦れる気持を抑えながら兵士長としての仕事を優先させる。
「おい、まずは馬だ。蹄洗場に急ぐぞ!」
「「「はい!」」」
あいつはもう馬の手入れは終わったのだろうか、それとも医師の治療の手伝いをしてるのだろうか…
あれこれと考えながら班員と蹄洗場に着くと、今すぐにでも会いたかった後ろ姿が目に飛び込んできた。
「……おい!オルオ。こいつを頼んだ……」
「へ?リヴァイ兵長?!」
リヴァイは愛馬の手綱をオルオに渡すと一目散にクレアの元へ走っていった。
少しボサボサになっているが、長い髪をまとめているのはクレアしかいない。
しかし何か違和感がある。
頭のてっぺんは真っ赤に染まり、マントにもかすれた血が広範囲についている。
リヴァイは、たまらずクレアの肩をつかむと、思いっ切り自分の方に振り向かせた。
「きゃっ!!」
「クレア!!」
驚いた顔で振り向いたクレアはほぼ血まみれだった。
顔や額には拭き取れきれなかった血がかすれている。
「へ、兵長?!」
「おい、ケガをしてるのか?!」
感情が先走ってしまいクレアの両肩をつかんで怒鳴るように問い詰めてしまった。
「へ、兵長、違います…これは討伐をした時に返り血を浴びてしまって…ケガはしてません。」
「……………。」
よくよく考えれば、こんな出血のケガをしているのなら馬の手入れなんてできる訳がない。
それに、時には予想以上に返り血を浴びてしまうことだってある。
「…………!」
リヴァイはここで初めて、自分がクレアに対して冷静さを失っていた事に気がづいた。