第11章 奇行種の初陣
クレアがハンジ達のもとに戻ってきた時には3体の討伐が終わっており、残りの1体にハンジがトドメをさすところだった。
「ハンジさん!!」
「クレア、無事だったね!」
「はい、奇行種の侵攻は阻止しましたが……」
クレアが息絶えている兵士に目をやった。
横たわっている1人と、転がっている頭部の顔には見覚えがあった。
一緒に訓練をしてきた新兵だ……
「……4人やられてしまった。」
2人はなんとか人間の姿を留めていたが、残りの2人はバラバラにされ、無惨な遺体となっていた。
クレアはデイジーから降り、遺体の首元からネックレスと髪を結んでいる革紐を
バラバラの遺体からは、指輪と紋章を剥がすと、それを班長の元まで持っていった。
「救援が遅くなってすみません……遺品になればよいのですが……」
「いや……こいつらを死なせたのは俺の責任だ。すまない…」
班長は遺品を受け取るとポケットにしまい、馬に跨った。
「クレア……」
クレアは彼らを助けられなかったことに責任を感じてるのだろうか。
涙も流さず遺品を渡す姿がかえって痛々しくハンジは見えた。
「ハンジさん。左翼には向かいますか?」
「……黄色の信煙弾は上がっていない。リヴァイ班が向かったかもしれない。私達はこのまま帰還しよう!」
ハンジ班と生き残った班長は全速力で壁まで馬を走らせた。
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ハンジ達は無事に壁内に帰還することができた。
調査兵団本部に到着すると、点呼や怪我人の治療、死亡者の報告、片付けなど、やることが山のようにある。
ハンジ達はまず馬の手入れをしながら愛馬に怪我や腫れているところがないか、丁寧に確認を始めた。
すると、少し遅れてミケ班も帰還し、馬を連れて蹄洗場までやってきた。
「クレア!!」
クレアを呼んだのは、無事を確認したかった友人フレイアだ。
「フレイア!!」
思わずかけより抱き合った。
「フレイア!無事でよかった!拠点で探したかったんだけど…応急処置に入ってて探せなくて…本当に無事でよかった…」
思わず抱き締める腕に力が入った。