第77章 自称・約束を守る誠実な男
「ウォール・マリア奪還作戦から生きて帰還したら、今度は俺がお前の部屋に行くと…言っていただろう?忘れたとは…言わせねぇぞ。」
「あっ…!!」
「その顔は…忘れていたな…」
「うぅ……」
忘れていたなというよりは、よく覚えていていたなと言うのがクレアの正直な感想だ。
「疲れていても、眠くても、朝まで抱き潰すと約束したはずだ。」
「で、ですが……」
「俺は約束を守る誠実な男だからな…」
「…………」
そうドヤ顔で言い放つリヴァイ。
この台詞を聞くのはいったい何度目だろうか。
過去にも何度か聞いたが、いずれも似たような状況だったとクレアは記憶していた。
確かに約束を守る事は誠実だが、今リヴァイが言った“朝まで抱き潰す”とは、はたして“誠実”という部類に入るのだろうか。
いや…絶対に入らないだろう。
「医務室から出てくるまで待ったんだ。もうこれ以上我慢はできない…」
「あ…あぁ…兵長…キャッ!!」
クレアの言い分など聞くつもりはないのか、リヴァイはブーツを脱ぐとベッドに上がり押し倒す。
いとも簡単にゴロリと仰向けに倒れてしまったクレアの手首を掴んで顔の横に沈めると、戸惑い揺れる蒼い瞳と視線が交わった。
「こうする事ができると心待ちにしていたのは…俺だけか?」
「あ…あの…その……」
そんな事は決してないが、心の準備ができていなかったクレアはアワアワとしどろもどろだ。
だが変に誤解されても困る。
クレアは口をキュッと結ぶと首を左右に振ってリヴァイの問いかけに対し否と返した。