第76章 慟哭と、その向こう側に見えたモノ
君の気持ちを聞いていないから、あたかも両想いかのような書き方になってしまったな。
俺の願望を押し付けたような内容になってしまってすまなかった。
もし君が俺の事を哀れな客の1人としてしか思っていなかったのなら、全てを処分してくれて構わない。
だけど…もし仮にも…俺と同じ気持ちでいてくれたのなら…俺の気持ちとして受け取って欲しいと思っている。
タリアを好きになれて本当によかった。
タリアを好きになれた自分の事も好きになれた。
タリアはとても素敵で、素晴らしい女性だ。
いつまでも…そう…俺はいつまでも君を愛している。
俺が愛したタリアが、どうか後悔のない幸せな人生を送れる事を…心から願っている。
モブリット・バーナー
「………………」
読み終えたタリアの頬は、溢れた涙で濡れていた。
「ハンジさん…秋に満開になる向日葵畑って…そんな所、この辺にありましたか?」
「ううん…私は知らない。でも、モブリットは北部の出身だからね…もしかしたらそんな所を知っていたのかもしれない…」
「うぅ…モブリット…モブリット…こんな形であなたの気持ちを知るなんて!!あぁ…あぁ……」
「タリアさん…」
ハンジは向かいに座っているタリアの手を握ってやりながら問いかける。
「モブリットも…タリアさんも…お互いを大切にしすぎて気持ちを伝えていなかったんだね…」
「はい…私は…モブリットはずっとあなたの事が好きだと思っていたから…もし私が想いを告げたりしたら…そんな事をしたら…きっとモブリットはもう私になんて会いに来てくれなくなると…そう思っていたんです…」