第76章 慟哭と、その向こう側に見えたモノ
「そう…ですよね。私は、こんなに自分とそっくりな方に会った事がないので…あの…その、私の心臓、さっきからずっとドキドキが止まらないんです…」
「だ、だよね!!私も…ビックリしてるよ!まだ信じられないくらいに!アハ…ハハハハ…」
お互いの事を話す内に少しずつ緊張がほぐれてきたハンジとタリア。
そんな瓜二つな2人を見てクレアは不思議な気分になった。
いつものハンジと化粧をして女性らしい服を着たハンジ。まるで、性格のちがう双子の姉妹が仲良く話をしているように見えたのだ。
逆を言えば、ハンジが化粧をして、仕立てのいいワンピースなんか着てしまったらおそらくタリアと見分けがつかなくなってしまうだろう。
それくらいにそっくりだった。
そんな2人の会話に水をさすつもりはなかったが、ここには遊びに来たのではないのだ。
当初の予定を思い出したクレアは、持ってきた小包をスッとハンジに差し出した。
「ハンジさん…タリアさんに、これをお渡ししないと……」
「あっ、そうだった…タリアさん。これがさっき言ったあなた宛の小包。中身はわからないんだけど、手紙が入っているはずだ。」
「は、はい…早速開けてみますね…」
受け取ったタリアは包を開けると、確かに中にはタリア宛の封書と、さらに包装紙で包まれた何かが入っていた。
ハンジもクレアもモブリットが想い人に遺したモノがなんなのか気になって思わず覗き込んてしまう。
「ひとまず…手紙から確認しましょうか…」
そういうと、タリアは封筒の封を切り、書かれてある内容を読み始めた。