第76章 慟哭と、その向こう側に見えたモノ
「…そんなハンジさんもとても素敵ですが、苦しくなったら我慢しないで私に甘えにきてくださいね。じゃないと、モブリットさん…穏やかに見守る事もできなくなってしまいますから…ね…?!」
すると、ハンジはくるっと回転してクレアと向かい合わせになった。
「う、うん…そうするよ。モブリットだけじゃない。今回の作戦でたくさんの命が犠牲になった。そんなみんなの想いを無駄にはできないからね!私頑張るよ。だからクレア…!クレアだけは私を甘やかしてぇぇぇ!!!」
いつものちょうしを取り戻してきたハンジは思い切りクレアを抱きしめて右に左に揺さぶった。
「は、はい!!お風呂のチェックは今まで以上に厳しくしたいと思いますが、大変な時は私も力になりますから…いつでも甘えてください!!」
「うん!うん!!ありがとう!私、もうたくさん甘えるから!!」
そんな言葉に気分をよくしたハンジは、ギュウギュウと存分に抱きしめてからクレアを車椅子に戻した。
「そういえばハンジさん…木箱に入っている小包、どうしますか?」
「あ…これ……」
「はい、大切な方に届けて欲しいとハンジさん宛のお手紙に書いてありましたが……」
2人ともモブリットにタリアという大切な存在がいた事は初耳だ。
しかし、ハンジにはなんとなくだが、そんな人物がいたのではないかと察していたためそこまで驚きはなかった。
「御丁寧に彼女がいる場所の地図まで遺してくれちゃったからね。届けないわけにはいかないだろう…クレア、今から行ってみよっか?」
「はい!!ご一緒させて下さい!!」