第11章 奇行種の初陣
「クレア……驚かさないでくれ!心臓が止まるかと思ったよ。」
トドメをさしたモブリットがすぐにクレアに声をかける。
「モブリットさん、すみません!足を止めるつもりだったんですけど、ついいける!!と思ってしまって…」
「まったく…無茶も大概にしてくれよ…」
すると、討伐を終えたハンジも飛んでくる。
「クレア〜〜!すんげー!!討伐しちゃったじゃん!」
「ハンジさんごめんなさい!なんだか、身体が勝手に動いてしまって…やっちゃいました…」
「それにしても派手に返り血浴びたねー。」
クレアの上半身は巨人の返り血を浴びて真っ赤になっていた。
「削ぐときに、力を入れすぎたのでしょうか?訓練では返り血のことまでなんて考えてしてなかったので……やってしまいましたね。」
マントで顔を拭くが、キレイには拭き取れなかった。髪にもべっとりだが先を急ぐため仕方ない。
遅れて第一拠点に到着すると、補充作業は順調に進められていた。
「ハンジ達、無事だったか!」
ハンジ達の到着が遅れていたのを心配していたエルヴィンが声をかけてきた。
「遅れてごめんエルヴィン、ちょっと索敵もれの巨人を討伐してたんだ。ここまでついてきちゃったら大変だったからね!ってそれどころじゃないよ!エルヴィン聞いてよ!クレア見事に討伐1体決めちゃったんだよ!」
「ほう、クレア!すごいじゃないか!って、その血は返り血か?」
「は、はい……まさかあんなに噴き出すものとは思わず…」
「君がケガをしたのでないならいい。悪いがけが人が何人か出てる。応急処置を頼めるか?」
「はい!もちろんです!」
案内された場所にいくと数名けが人がでていたが、みな軽症だった。
「はい、これで大丈夫です!」
最後の1人の処置が終わると、クレアはフレイアの姿を探したが、すぐに出立の号令がでてしまい断念した。
第二拠点までは、順調に進み、補充作業も滞りなく進んだ。
あとは帰還するだけだ。夕刻前には壁内に帰れるだろうか。
「総員帰還せよ!!」
エルヴィンの号令で皆馬を走らせる。
奇跡的にもここまでは死亡者はゼロだ。
このまま全員生きて壁内に帰りたい。
クレアはそう強く思った。