第11章 奇行種の初陣
ここを突破されては荷馬車の護衛班に危険が及ぶため、ハンジ班の役目は非常に重要だ。
「クレア、私達のところに巨人が近づいてきたら索敵のとりこぼしと判断して討伐になる可能性が高い。そのつもりでいてね!」
「はい!大丈夫です!」
すると、前方から何体か巨人らしき影が見えてきた。
3体はいるだろうか。
「ハンジさん!巨人でしょうか?信煙弾打ちますか?」
「……前方からだと索敵のとりこぼしの可能性が高いな……」
第一拠点まではもう少しで到着するだろう。
「拠点まで荷馬車を守りたい。ここで叩こう!戦闘準備!」
「「はい!」」
「クレア!前にいる8m級の足を止められる?」
「はい!やってみます!」
「モブリットはフォローととどめだ。私はその後ろの10m級をやる!」
「「はい!」」
クレアはまだ少し遠目に見える巨人をみつめた。
巨人を見つめながら、深呼吸をし、自身の心拍数を確認する。
緊張で上がっていた心拍数が少しずつ落ち着いてくる。
手綱を握り直しながら指先の温度を確認するが冷たくはなっていない。
震えもない。
大丈夫……動揺はしていない……
行ける!!!
「デイジーー!!!手前の8m級の足を止めるよ!」
クレアはハンジたちを置いて先に行ってしまった。
「クレア!待て!」
ハンジもモブリットも慌てて後を追った。
クレアは鞍の上に立ち、ブレードを抜くと、大胆にも巨人の眉間めがけてアンカーを打って飛び上がった。
──ビュン──
勢いよく飛び上がって、宙返りをし、巨人の後頭部に回ると、クレアには巨人のうなじがはっきりと見えた。
そのまま肩にアンカーを打ち直すと、うなじめがけて力いっぱいブレードを振るった。
──バシュ──
空中で見えたのは10m級の討伐を始めたハンジの姿と、こちらに向かってくるモブリットの姿。
巨人はあと1体。
クレアは迷わず着地する前に、3体目の腰めがけてアンカーを射出すると地面を滑るようにワイヤーを巻き取り、アキレス腱を削いで動きを止めた。
「モブリットさん!」
「任せろ!!」
トドメを任されたモブリットが飛び上がった。