第76章 慟哭と、その向こう側に見えたモノ
「クレア……」
「ハンジさんの健康も大切です。片目で書類仕事をするのは大変ですし、そしてなにより団長というお立場が、ハンジさんの負担やストレスになる事もあるでしょう…なので、私が時々抜き打ちで手伝いに来ます。その私を追い払わないで下さいというのが…条件です。」
「うぅ…クレア〜!!」
クレアの気遣いのような条件に感極まるハンジ。
両手の拳を握りしめてぷるぷると震えている。
「じゃ、じゃあ!その条件で宜しく頼む!!!」
「はい!!承知致しました。」
ハンジにとってもクレアにとっても好条件で今後の事が決まり、2人は満面の笑みで見つめ合った。
「それではハンジさん、私は今日から医務室勤務で宜しいでしょうか?」
「う〜ん、それでもいいけど、退院したばかりだし今日は休みにして、体調に問題なければ明日から先生の手伝いをお願いしようかな。」
「そしたら今日私は自由行動という事で宜しいですか?」
「ん?うん…それでいいよ?」
念を押されるように聞かれたハンジは首をかしげながら答えると、クレアは笑顔のままある提案をしてきた。
「それじゃあ、今日は1日ハンジさんのお仕事のお手伝いをしたいです!!しばらくは医務室の仕事を覚えなくてはならないので忙しくなります。なので、今日は1日ハンジさんのために働かせで下さい!!」
モブリットは死んでしまい、ハンジは団長になった。
もう“ハンジ班”は事実上なくなってしまったのだ。
だからせめて新しい職場に行く前に、もう1度ハンジの側で仕事がしたかったクレアは、張り切って提案をしてみた。
ハンジは快諾してくれるだろうか。