第75章 導きと再会
「…その会話を最後に…お前は目を覚ましたと言う事だな?」
「はい…そうです…夢だと言われれば夢なのかもしれませんが…とても不思議な体験でした。兵長には、どうしても話しておきたくて…長々とお付き合いさせてしまってすみません…」
「謝るな。俺は、夢なんかじゃないと思っている…」
そう言うとリヴァイは握られている手を振りほどき思いきりクレアを抱きしめた。
「へ、兵長……?」
「あいつらに、感謝しないとな…あいつらが止めてくれなかったら今頃お前は死んでたかもしれないんだろ?それに…暗闇の中でその光に導かれなかったら、そのまま迷っていたかもしれない…」
「はい…兵長の…仰る通りです…」
「俺は、お前の命を救った全ての人間に感謝をしたい…“諦めて死を選んだら許さない”などと言っておきながら俺はあの時…獣の巨人の投石でどうにもならなくなった時…もう生きて帰る事はできないだろうと思っちまった。それでも俺達は今、こうしてる…クレアの足は…本当に残念だったと思ってるが…どうか助かったこの命を無駄にしないで欲しい…」
「……………」
リヴァイと言う通り、クレアは沢山の助けに支えられてここまで生還する事ができた。
どれか1つでも欠けていていたら無理な話だっただろう。
奇跡が奇跡を呼んだと言っても過言ではない。
それ故にクレアは思う。
兵士としては戦えなくなってしまったが、沢山の奇跡によって繋がったこの命を決して無駄にはしたくない。
できる事ならこの命尽きるまで、調査兵団のために何か貢献し続けたい。
掃除でも、洗濯でも何でもいい。
なんなら無給でもいいから、何か恩返しのようなモノがしたいとクレアは強く思った。