第75章 導きと再会
あんな死に方をして…死んでも死にきれないと、もがき苦しんでいたらと悩んだ時期もあった。
だが今のクレアの話を聞いて、エルド達の働きは十分に報われている…身も心も救われている…
そうリヴァイは感じる事ができたようだ。
「私…みなさんとお話したい事、たくさんあったのですが…時間がないからと…早く戻れって…ここにはもう来るなって…にこにこしながら手を振られたんです…」
気付けばクレアの目からは大粒の涙がこぼれていた。
「みなさん…とても明るくて、輝くように笑っていました。エルドさん達は…兵長のお身体を気遣われていました。ゆっくりお話する事はできませんでしたが…きっとみなさんは…巨人の恐怖から解き放たれて…心穏やかに過ごしているんだと思います…」
今でもすぐに思い出す事ができる彼らの笑顔。
話したい事は山程あったが…
皆悲惨な最後だったのだ。
穏やかな笑顔を見れただけでも、せめてもの救いだったと、そう思いたい。
「そうか…そんなあいつらに追い返されて、お前は戻ってきたというわけか…」
「はい…ですがもう1人、私を助けてくれた人がいたんです…」
「……もう1人?」
クレアを助けたというもう1人の人物……
リヴァイはパッとイメージする事ができず、首をかしげてしまった。
するとクレアはリヴァイの右手をそっと握り…答える。
「お腹にいた…赤ちゃんです……」
「え……!?」
「私はみなさんの笑顔に見送られて、底の見えない真っ暗な暗闇へと落ちました。どうしていいかわからず…やっぱりこのまま死ぬのではないかと思った時に…あの子が、やってきてくれたんです…」