第75章 導きと再会
「意識を失っている間に…不思議な体験をしたんです…」
「…不思議な体験…?」
「はい…どうやら私は、死後の世界の入口まで行っていたみたいなんです。」
「死後の世界…?」
「広大な空間に紫色のシオンの花が満開で…とても美しい場所でした…以前ハンジさんに連れて行ってもらった花畑の何倍も、何十倍もあって…そんな花畑の真ん中で眠っていた私を…フレイアが起こしたんです…」
「なん…だって?」
「とても驚きました…でも私の前に現れたのは、フレイアだけではなくて…エルドさん、ペトラさん、グンタさん、オルオさん、アンドレにリリアン、ミケさん、ニファさん、ケイジさん、パドリックさん…そして、モブリットさん…私と親しくしてくださったみなさんが…出てきてくれました…」
「ずいぶんと賑やかなメンツだな…お前を迎えに来たって言うのか?」
「私も最初はお迎えなのかなと思ったのですが…そうではなくて…みなさん、私がそこから先に…つまり死後の世界へと進まないようにと…止めにきてくださったんです…」
「…それは…つまり……」
「あのまま誰も私を引き止める人がいなかったら…私はよくわからないまま死後の世界へと旅立っていたと思います…」
「……………」
クレアが笑えないウソをつくような女ではない事はリヴァイが1番よく知っている。
きっとクレアは本当に見たのだろう。
不思議な話だが、内容が内容なだけあって、ただの“夢”だと簡単に聞き流す事はできない。
クレアの話が本当なら、エルド達は死してもなお、自分の恋路を応援し、支えてくれていたという事になる。
リヴァイの中に残っていたエルド達の最後の記憶は、アニによって惨殺された姿った。