第75章 導きと再会
エルヴィンへの感謝の想いを天(そら)へと送り、目を開けると、日はもうだいぶ傾いていた。
吹き抜ける風もヒンヤリとしている。
「気持ちの整理はついたか…?」
「は、はい…今までお世話になったのでその御礼と…御冥福を…祈りました…ありがとうございます…」
「…じゃあ、戻るか…」
リヴァイは兵舎に戻るため、車椅子を反転させた。
クレアはそれに合わせてぐるりと周りを見渡す。
当たり前だが誰もいない。
エレンやハンジ達は、きっとまだ忙しく仕事をしているのだろう。
よく考えれば長い眠りから覚めて、今やっとリヴァイと2人きりになれている。
話したい事があったクレアは、リヴァイの方を振り返り声をかけた。
「兵長…兵舎に戻るのは……もう少し後でもいいですか?お話したい事があるんです…」
「話…?」
「はい……」
2人で話がしたいというクレアの申し出をリヴァイが断るわけがない。
黙って頷き了承すると、リヴァイはクレアを車椅子からおろし、墓地の隅の草むらに座らせて自身も隣に腰をおろした。
リヴァイが腰をおろしたのは、クレアのすぐ隣。
肩と肩が触れ、2人の距離は限りなくゼロだ。
「で、どんな話だ?」
「は、は、はい…あのですね……」
不意打ちの距離に、クレアの顔はみるみる赤くなってしまう。鏡を見なくてもわかる程頬が熱い……
肩が触れ合っただけなのに、こんなにも心臓がうるさくなってしまう自分が恥ずかしくて、穴があったら入りたい気分になってしまったが、どうしても話したい事なのだ。
クレアは深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、ゆっくりと話を始めた。