第75章 導きと再会
「す、すみません…兵長……」
「どうした?」
「私…すっかり役立たずですね…兵長に抱き上げていただかないと車椅子にも座れないなんて…早く松葉杖の練習…しないとですね…」
「そんな事は考えなくていい…ほら行くぞ…」
「あっ…はい……」
実のところ、リヴァイはこんなクレアも悪くないと思っていた。
もちろん片脚の半分を失った姿は痛々しく、その事実を知った時はショックも受けた。
兵士として働けなくなって肩を落としている姿は気の毒だとも思う。
しかし、リヴァイにとってはどんな姿であれ、クレアが生きている事の方が重要なのだ。
その上、自分が手をかさなければ満足に動けないクレアは、守ってやりたいと思う本能をこれでもかというほどに刺激をしてくる。
こんな状況も正直悪くなかった。
だがこんな事、気落ちしているクレアを前にして言えるわけがない…
リヴァイは黙って心の奥にしまったようだ。
リヴァイは花束を抱えたクレアを車椅子に座らせると、エルヴィンの眠る集合墓地へと向った。
広い敷地には数え切れない程の墓石。
遺体を持ち帰る事ができたらこの集合墓地に埋葬される。
実家の家族が引き取る事も勿論あるが、帰れる実家のある兵士はそこまで多くはなく、だいたいが集合墓地での埋葬になる。
遺体を持ち帰れなかった兵士は、全員兵団内の殉死名簿に記録される事になっている。
持ち帰る事のできた遺体だけでもこの数だ。
名簿に記録されている兵士の人数など…
考えるだけでも気が遠くなってしまう。