第75章 導きと再会
「そうか…痛むなら薬は我慢しないで飲めよ。」
「は、はい……」
「それじゃあ、行くぞ…」
リヴァイは棚から薄いひざ掛けを出すと、クレアの膝にかけてやった。
このところ天候はすっかり秋めいて、朝と晩には肌寒くなってきている。
きっと外はだいぶ涼しいだろうとリヴァイは考えたようだ。
「あ、ありがとうございます…」
クレアが少し照れたように礼を言うと、リヴァイは車椅子を押しながら外にある共同墓地まで向かった。
兵舎を出ると、クレアの目にあるモノが飛び込んできた。
「あっ、あの兵長?!」
「なんだ?」
「少し、寄り道をしてもいいですか?」
「寄り道…?」
「あそこです…」
クレアが指をさしたのは、兵舎の建物の周りに自生している花だった。
「お墓に行くんですよね?それならせめて、お花を供えてあげたいんです…私、花には詳しくないので…あそこに咲いてるのは雑草かもしれませんが…」
確かに、クレアが指をさした場所には花が咲いている。
調査兵団には憲兵団のような豪華絢爛な花壇など当然だがない。
そのため、そこに咲いているのは十中八九雑草だろう。日当たりが良かったのか結構立派に咲いていたため、リヴァイはクレアの言う通りに寄り道をしてやった。
「ありがとうございます兵長!!」
寄り道をしてやったまではよかったのだが、花の近くまでくると、何がどうしたのか…クレアは突然車椅子から立ち上がってしまった。
「お、おい!!」
リヴァイが止めようとしたが時既に遅し…
「あっ!あれっ!キャアァァ!!」
その場で盛大に倒れてしまった。