第75章 導きと再会
「ちょっ…ちょっと待って下さい…本当にそんな事がこの1ヶ月で?!」
「あぁ…あとヒストリア女王からの勲章授与式もあった。クレアの分はハンジが代理で受け取った。体調が回復したら貰いにい行け。」
「…わ…わかりました。あっ…!それと…サシャとジャンのケガは大丈夫なんですか?」
「あの2人ならもう回復して仕事を再開させている。とは言っても生き残ったのが10人だからな…この所は訓練というよりは、死んだ兵士の事務処理や今後の資金集め、勧誘活動といった内勤的な事であっという間に1日が終わる。もうしばらくはそんな感じだろうな。」
「そうですか…やはり…この壁内が世界の全てではなかったのですね…」
「それだけじゃない。この閉鎖された空間で、文化も技術も置いてけぼりだ…地下室に隠してあった“写真”とやらを見た時は、それはそれは驚いたな…」
リヴァイの話によると、これからは壁の外の「敵」と戦う事になるそうだ。
文化も技術も遅れをとるこの壁内の人類にはたして明るい未来はあるのだろうか。
まだまだ終わりの見えない戦いにクレアの胸の中はモヤモヤと曇っていく。
「まぁ…戦いが終わったわけではないが、今の調査兵団には兵力そのものがない。今すぐ外の世界に出ていくのは不可能だ。まずはウォール・マリア内にはびこる巨人をあの兵器で駆逐して、海とやらの存在を確認しに行くのが先だろうな…」
「海……」
イェーガー氏の残した本には“海”の存在にも触れていた。それは、アルミンの話していた内容と完全に一致していたそうだ。
兵力を失った調査兵団の当面の目標は、勧誘を募り組織の再建と、壁外調査で“海”を見に行く事になるだろう。