第75章 導きと再会
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「……………」
重く感じた瞼を持ち上げると、目に映ったのはよく知る部屋の天井。
ここでこうして目を覚ますのは、いったい何回目だろうか。
何度目かはわからなかったが、こうして目が覚めたという事は、まだ生きていると…そう思って間違いはないだろう。
そして左手に感じる温もり。
包まれている自分の手が少し汗ばんでいる感じがするが、いったいリヴァイはいつからこの手を握っていてくれたのだろうか。
礼を言いたくてそっと左を向いたのだが…
クレアは愛しい恋人の名ではなく、開口一番悲鳴を上げた。
「ひっ…!!!」
そこに座っていたのは確かにリヴァイだった。
リヴァイが自分の身を案じて手を握ってくれていたのも、おそらく間違いではないだろう。
しかし、問題はその顔だ。
どんなに獰猛な獣でも一瞬で射殺してしまいそうな鋭い三白眼はもう見慣れている。
そして目つきが、今、非常に不機嫌であるだろう事もだいたい読みとれる。
問題はその目の下だった。
リヴァイは睡眠が浅いせいか、もとから薄っすらとクマがかった目をしていたが、今目の前にいるリヴァイの目元は“薄っすら”どころではない。
木炭か何かでハンジにいたずらでもされたのか?と問いかけたくなるほどリヴァイの目の下のクマが深く濃くなっていたのだ。
「やっと起きたかよ奇行種……開口一番悲鳴を上げるとはどういう事だ……」
「す、すみません兵長…あの…今は朝ですか?いったい私はどれだけの間眠っていたのでしょうか?」
「今は朝の5時。お前は約1ヶ月…眠っていた…」
「え…?!」
1ヶ月…
予想をこえる解答に、クレアは驚きを隠せなかった。