第75章 導きと再会
「そんなに…そんなに都合のいい解釈…私がしても許されるの?」
「うん、いいんだよ。」
「ど、どうして…?」
「だって…母様が生きててくれないと…戻ってこれないでしょう?」
「……………」
守ってやる事ができなかったというのに、この小さな命は、また自分の胎内に宿りたいと…言った。
真っ直ぐに自分を慕うこの小さな命に、クレアの心の中は愛しい想いでいっぱいになる。
顔もわからない、性別もわからない…
でも、それでも愛しい想いでいっぱいになった。
「あっ!見て!見えてきたよ!!」
「え…?あ……あれは……」
すると、真っ暗闇にボンヤリと見えてきたのは、医務室のベッドで眠っている自分と、そのすぐ横に座っているリヴァイの姿。
リヴァイは、黙ってクレアの手を握っていた。
「…………」
「私の役目はここまで…さぁ、自分の身体に戻って…」
「え…?でも、どうやって?」
「目を閉じて、自分の身体に戻る事を頭の中で念じればいい。さ、早く…」
「あ、待って!!ちょっとだけでいいの…待って…!」
「どうしたの?」
「あのね……」
この小さな命は自分を母と慕って…助けてくれて、また再び宿りたいと言ってくれたが、きっと…そんな日は訪れないだろうと…クレアは思った。
左足を失った自分はもう兵士としては働けない。
きっと退団命令を出されてどこか働き口を探す事になるだろう。
そして、リヴァイはこれから先も兵士長として調査兵団のために戦い続ける。
リヴァイから恋人関係を解消されるような事はないとは思ってるが…それ以上の関係になる事も…ないはずだ。