第75章 導きと再会
きっと今のが夢で、これから本当に自分は死ぬのだろう…
そんな事を考えていたら突然全身に浮遊感を感じたクレア。
「わっ…!!な…何?!」
いきなり落下しなくなった感覚に驚き声を上げると、ドキドキと心拍数の上昇している胸をおさえながらクレアは身体を起こしてみた。
「……………」
底についた感じではなく、なんだか大きくて柔らかいクッションの様なものの上でゆっくりと落下しているような感覚だった。
死を覚悟してまうような落下は止まったが、周りは変わらず真っ暗だ。
いったい何が起きてるのだ。
どうしていいかわからずゆっくりと降下していく感覚に身を任せていると、どこからか声が聞こえてきた。
「よかった……」
「え……だ、誰……?!」
真っ暗闇の中、問いかけるが何も見えない。
「ここだよ?ここ…!!」
「え?!」
“ここ”だと言われてもこの暗闇の中、どこの事を言っているのかわからない。
どうする事もできずにキョロキョロとしていたら突然クレアを支えている柔らかいモノがキラキラと輝きだした。
「ここ…だよ?!」
「え…え?!これって……」
クレアは光り輝くこの感覚に覚えがあった。
まさか…
まさかと思うが…
「あ…あなたは…もしかして……」
「当たりだよ。また会えたね、お母様…」
クレアをこの落下から助けたのは、1ヶ月前に自身の身体から流れてしまった小さな命だった。
「え、ウソ…でしょ……?」
突然の再会に、当然だが驚いたクレア。
何故?
どうして?
クレアの頭はそんな疑問符でいっぱいだった。