第74章 選択と衝突と決断
断末魔の叫び声を上げて消えていったベルトルト。
最後に助けてくれと命乞いをしていたが、巨人化の注射で無垢の巨人となった者にそんな声、届くわけがない。
なんとも呆気なくその身体が口の中におさまると、水蒸気を上げて出てきたのは……
アルミン・アルレルト。
リヴァイは迷いに迷った結果…アルミンに注射を打った。
エレン達は泣きながらアルミンにかけより抱きしめるが、フロックはこの結果に納得がいかなかったのか、リヴァイに説明を求めた。
「リヴァイ兵長…どうして…ですか?」
まぁ、フロックが疑問に思うのも無理ないだろう。
「フロック…こいつを、許してやってくれないか?こいつは悪魔になるしかなかった…その上…一度は地獄から解放されたこいつを…再び地獄に呼び戻そうとした…だがもう…休ませてやらねぇと……それが俺の最後にした決断だ…」
「…………」
静かに聞いていたフロックだが、その表情は納得してるとはいいがたい顔だ。
だがもう注射はアルミンに打ってしまったのだ。
やり直す事はできない。
「お前の想いも理解しているつもりだ。ここまでエルヴィンを運んてきてもらったのに…悪かったな……そうだ…エルヴィン、獣を仕留める約束だが…まだ先になりそうだ…だから……」
「リヴァイ…もう死んだよ…」
最後に伝えたい言葉があったようだが…
エルヴィンはもう事切れていた。
「そうか……」
エルヴィンの死に顔が、少し穏やかに見えたのは自分の都合のいい解釈だろうか…
さすがのリヴァイもこの命の選択には大きな精神的ダメージを受けていた。
だが、今のリヴァイ達に呆けている時間など…無いのだ。