第74章 選択と衝突と決断

「うぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！」




注射器を持ったリヴァイが見たのはエルヴィンの顔。

それで全てを察したミカサが涙を流しながら叫んだ。




「ミカサ…！！私達にはエルヴィンがまだ必要なんだ！！調査兵団はほぼ壊滅状態！！団長まで死んだとなれば…！人類は象徴を失う！！あの壁の中で希望の灯火を絶やしてはならないんだよ！！」



「それは…アルミンにだってぇ…できる！！」



「確かにアルミンは逸材だ…だが我々の戦いはこれからもずっと続くんだ！！まだエルヴィンの経験と統率力が……うぅ！！」



泣きながら食い下がるミカサは羽交い締めしているハンジの手首を掴むと思い切り握力をかけて抵抗した。

岩をも砕いてしまいそうな握力にハンジは堪らずうめき声を上げてしまう。




「私にも…生き返らせたい人が…いるよ…」


「………」




ハンジのその言葉で思わず握っていた力が緩んでしまったミカサ。

生き返らせたい人…

今ハンジの頭の中にいる生き返らせたい人とは、おそらくモブリットだろう…





「調査兵団に入った時から…別れの日々だ…でも…わかっているだろう？誰にだっていつかは別れる日が来るって…とてもじゃないけど受け入れられないよ、正気を保つ事さえままならない…辛い…辛いよ。わかってる…それでも前に進まなきゃいけない……」




そう言ってハンジはミカサを優しく抱きしめると、ミカサは涙を流しながら何も言わなくなってしまった。




「ハンジさん……」




クレアはこの場の惨状に胸をいため涙を流した。

ハンジに生き返らせたい人間がいるのと同じく、クレアにも生き返らせたい人間が何人もいるからだ。