第74章 選択と衝突と決断
「ミカサーー!!」
ードンッ!!!ー
ミカサの刃などまとも受けてしまったらフロックは即死だ。
ハンジが体当りするようにミカサを背後から羽交い締めにすると、そのまま後ろに下がり距離を取る。
仲間同士で殺し合いなど、絶対にあってはならない。
「オイ…ウソだろ…こんなの……」
「そんな……」
ジャンとコニーはこの惨状に言葉が出てこなかった。
「ハンジ…無事だったんだな…そっちの生存者は、これで全員か…?!」
「あぁ…モブリットは死んだよ…サシャは、おそらく命に別状はない…それとクレアは…」
「クレア…?!その足はどうした?」
リヴァイはクレアの姿を確認できて内心ホッとしたが、様子がおかしい事にすぐに気付く。
「クレアは…ベルトルトが巨人化した時の爆風で飛んできた瓦礫に足を潰されて身動きが取れなくなったんだ。大きな瓦礫で動かすのも不可能だったから苦肉の策で切断した…クレアの命は…そうだな…時間次第だと思う。」
ジャンに肩を借りてなんとかここまで来たが、痛みと出血でクレアはもうまともに立っている事ができていなかった。
「へい…ちょう…」
青白い顔でボンヤリとした生気のない視線と目が合うと、力無くクレアはリヴァイの名を呼んだ。
「………………」
クレアの顔色を見て胸がざわついたが、この注射を使ってベルトルトを食わせて、急いで地下室の調査を済ませ、帰還すればまだ助かる見込みはある。
そう判断したリヴァイはやはりこの注射はエルヴィンに使うべきだと再度自身に言い聞かせると、注射器を箱から出して立ち上がった。