第74章 選択と衝突と決断
前にもこんな事があった。
ジャンは殺せる時は殺せというリヴァイの命令を受け入れられず、すんでの所で迷ってしまいアルミンに手を汚させるというなんとも苦い失態をしていた。
今回だって四の五の言わずにライナーの命を絶っていればこんな事態にはならなかった。
ジャンは、自分のした進言に大きく後悔すると地面を叩きながらハンジに侘びたが、ハンジはジャンを責めなかった。
「……私の判断だと言っただろ?…エレン達と合流しよう。」
結果から言えばあの時の判断は間違っていた。
しかし、巨人化できる注射薬なるものが存在した以上あの時にライナーを始末する以外に、“巨人の力を奪う”という選択肢が出てきたのは至極当然の事だ。
ジャンだけの責任ではない。
あの4足歩行の巨人に乗っていた人間も四肢を切断されていた。
顔は初めて見る顔だったがおそらくは獣の巨人の中身だろう。
きっとあの姿はリヴァイとの戦闘の結果だろうが、あの4足歩行の巨人に乗ってるあたりリヴァイもギリギリのところで逃したと想像できる。
となればあとはベルトルトにかけるしかない。
「私が先頭を行くからコニーはサシャを、ジャンはクレアをお願いできるか?」
「「了解です……」」
ハンジは負傷した2人をコニーとジャンに任せると、重苦しい空気の中エレン目指して飛び上がった。
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ミカサの飛んで行った方角に向かって行くと、とある家屋の屋根の上が異常に騒がしい事に一行は気付く。
「エレンの声か?それにミカサも…いったい何が起こってるのでしょうか?」
その騒ぎに耳を傾けると、その内容はとんでもないモノだった。