第74章 選択と衝突と決断
ハンジは信煙弾確認すると、ライナーの首を刎ねるために剣を握り直すが、もの凄いスピードで何かが近付いてきた。
「な…なん…だ…?」
向かってきた巨体に皆凍りつく。
あれは、4足歩行の巨人だ。
背中に荷物を乗せて、そして誰かを乗せている。
「ハンジさん!!」
意識朦朧としていたクレアだったが、信煙弾の音と、巨人が向かってくる足音でハッと我に返る。
このままではハンジはあの巨体に突撃されてしまう。
助けなければと勢いよく立ち上がったクレアだったが、左足がない事でバランスを崩してしまい、その場にべチャリの倒れてしまった。
「ハンジさん…!!!」
「………!!」
しかしジャンが間一髪のところで、ハンジを4足歩行の巨人から引き離した。
「マズイ!!」
ハンジは剣をかまえて起き上がるが、目に飛び込んできたのは最悪の状況だった。
「ハンジさん!ライナーを奪われました!!」
ミカサが信煙弾を撃ったという事は、ライナーの力は奪えないのだ。
それならばライナーは殺さなければとコニーが飛び出したがもうあのスピードに、今残ってるガスでは追いつかないだろう。
「コニー!追わなくていい!!」
「……え?!」
「もうガスはわずかしかない…返り討ちにされるだけだ……」
なんて事態だ…
ライナーの力を奪う事も、その命を絶つ事もできなかった。
ライナーは瀕死だが、まだ息はあった。
時間さえあればいずれ回復するだろう。
「くそぉぉぉ!!!俺のせいです…俺が…取り返しのつかない事を…」
あの時ハンジに進言などしなければライナーは今頃始末できていた。