第11章 奇行種の初陣
クレアから淹れてもらった紅茶を飲みながら仕事を始めると、ふといつもと違うことに気が付いた。
クレアはいつも応接セットの手前側のソファに座るため、リヴァイからはいつも後ろ姿しかみえない。
だからこそ、気がついたのかもしれない。
クレアの髪型がいつもと違うことに。
キレイに編み込まれ、きっちりとまとめらている。
子供っぽい容姿のクレアでも、首元からのぞくうなじが妙に色っぽく感じる。
リヴァイはもっと近くで見たくなり、カップと、書類を手に取ると、クレアの座っているソファまで歩いていった。
ソファで紅茶を飲むときは右端のひじ掛けにもたれて座るのがいつもの座り方であるが、それだとクレアとの間に人一人分程の隙間ができてしまう。
それはなんとなく気に食わない。リヴァイは昨夜クレアへの気持ちを嘘偽りなく認めたのだ。
──もっと近くでクレアを感じたい──
そう心の中でつぶやくと、座る位置からぐいっと一歩クレアに近づいてから腰掛けた。
「へ、兵長?どうされましたか?」
いきなり隣に座られるだけでも驚きだが、なぜだか距離が近い。
この距離だと昨夜の出来事を思い出してしまい、クレアはソワソワしだしてしまう。
「……今日はいつもと髪型が違うんだな…」
「は、はい……巨人に掴まれてしまったら危険なので、ほどけないようにきっちりまとめました。」
そうか、そういうことなのか……
気にしたことなどなかったが、よくよく考えてみたら兵団内の女兵士は髪の短いものがほとんどだ。
髪を結んでる者もいるが、コイツほど長くはない。
確かに壁外調査では長い髪は命取りになりかねない。
きちんとまとめているのは結構なことだが、それにしたってきちんとしすぎてはいないか。
サイドに編まれた編み込みは美しく、まとめられた髪もキレイに団子状になっている。
壁外調査などではなく、いますぐ夜会にでも行けそうな髪型だ。
やはりクレアからは兵士らしくない品の良さをかんじてしまう。
「それは1人でできるものなのか?」
「は、はい。最初は慣れませんが、すぐにできるようになりますよ!」
「そうか……」
リヴァイは軽くため息をつくと、ある人物が頭に浮かんだ。