第74章 選択と衝突と決断
このチャンス、絶対に逃してはならない。
ジャンは意識はあるが負傷している。
サシャは傷の具合は深くなさそうだが意識不明だ。
そして自分は片足がない。
どんな能力で抵抗してくるかわからない以上人数が必要だ。
クレアはコニーにハンジのもとへ行くよう声をかけるが、コニーとジャンはクレアの足を見て驚愕する。
「クレアさん…!?足が…いったい…」
「わ、私の事はいいから早く!ハンジさんとミカサの所へ行って!急がないと!」
「は、はい!!」
コニーがハンジの所へ向かうと、クレアはサシャとジャンのケガの具合を診ることにした。
「ジャン?サシャは頭を打ったの?」
「いいえ…ライナーが家屋の屋根を薙払った時にその衝撃をモロにくらっちまったんです。ですが、コニーがすぐに受け止めたので…頭は打っていません…」
「そう…」
頭を打っていないのなら傷の手当で少し動かしてもだいだろう。
「ごめん…ジャンは少し動ける?家屋の中から清潔そうな布があったら持ってきて欲しいんだけと…私は足を負傷して切断してしまったから…どうしてもうまく動けなくて…」
「だ、大丈夫です!手当に使う布ですね!!探してきます!」
クレアは誰かのジャケットを切断面に巻いて袖を使って縛っていた。
ぐるぐるに巻いてあるジャケットにも血が滲んできているが、クレアは本当に大丈夫なのだろうか。
「そ、それと…もしお酒があったら持ってきて。アルコールの匂いがするものならなんでもいい。多少の消毒になるから。」
「わ、わかりました…!!」
クレアの様子が気がかりだったが、サシャの容態も無視できない。
医学の心得のないジャンは、クレアの言われた通りにするしかなかった。