第74章 選択と衝突と決断
少しすると、ジャンは家屋に残されていた酒瓶と、シーツを何枚か持って戻ってきた。
「クレアさん!埃かぶっちまってますが、この家のクローゼットから畳んであるシーツ見つけてきました。洗濯…っていっても5年も前ですが…ベッドに敷いてある物よりは清潔かと…」
そう言ってジャンは畳んであるシーツをパンパンと叩いて埃を払う。
「ありがとう!助かったわ!!」
クレアはシーツを受け取ると、刃を使って器用にシーツを裂き、包帯の代用になる物を何本も作っていった。
「ジャンとサシャも急所は外れてるけど…瓦礫が刺さってたわ。痛かったでしょう?」
「お、俺は大丈夫です…!」
ジャンは自分の事よりもクレアの方が心配だった。
クレアが余計に動かなくてもいいように、サシャの身体を支えたりして処置を手伝ったが、顔色はどんどん悪くなるし、呼吸も浅くて短い。
このままで言い訳がない。
「無理をしちゃダメよ…なるべく左腕は動かさないようにしてね。手伝ってくれてありがとう。」
しかし、クレアは自身の事には構わず周りを心配してばかりだ。
少し息を上げながら2人の手当をするとクレアはハンジのいる方を見た。
無事にライナーの四肢を切断できている。
「私、ハンジさんとミカサの手当をしてくる…」
「あっ、待って下さい!俺も手伝います!!」
ジャンはクレアが作った包帯と酒瓶を持つと、今度はハンジ達のもとへと向かった。
「ハンジさん…ライナーは?」
「一応エルヴィンの指示通り、四肢の切断は済んだ。これでしばらくは巨人化できないはずだが…だからと言って油断していいわけではない…さて、どうするか…」