第74章 選択と衝突と決断
「そんな…無理して笑わなくていいから…ごめん!私も覚悟を決めるよ…」
ハンジはそう言って抜剣すると、大きく振りかぶって狙いを定めた。
「全部押し付けてしまって…すみません…宜しくお願いします…!!」
ハンジがかまえたのを確認すると、クレアはスボンのポケットからハンカチを取り出し、口の中に入れて思い切り噛んだ。
「い、いくよ…?!」
クレアはコクリと頷くと、前を向いて目を閉じる。
「うぅ…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ハンジは叫びながら両腕に力を込めると、クレアの足を潰している瓦礫のすぐ横に狙いを定めて思い切り振りおろした。
ードンッ!!!ー
「キャァァァァァ!!!」
刃によって切断された足に焼けつくような激しい痛みがクレアを襲う。
ハンカチを噛んでいた事も忘れて悲鳴を上げると、瓦礫によって動かなかった身体がズルッと一歩前に動いた。
「はぁ…はぁ…あぁぁ…!!!」
覚悟はしていたが、想像以上の痛みに気を失いそうになる。
しかし、ここで気を失ったらハンジのお荷物になってしまう。
クレアは息を上げながらもゴロリと仰向けになって起き上がると、モブリットのジャケットを一旦ほどいて切断部分に巻き直した。
「クレア…大丈夫?!」
「ハンジさん…お見事です…!!ギリギリの所をありがとうございました…申し訳ないのですが…ここを思い切り縛ってもらっても…いいですか?」
切断面を保護するようにジャケットを巻きつけたはいいが、痛みで力が入らず自分では縛る事ができなかった。