第74章 選択と衝突と決断
いったいどうしたらいい……
クレアが冷や汗を流しながら戸惑っていると、枯井戸から細かな瓦礫を頭に乗せたハンジがひょっこりと出てきた。
「ハ、ハンジさん…!!」
「あっ!!クレア!!よかった…無事で…」
ハンジは顔をブンブン振って頭に乗っていた細かな瓦礫を振り落とすと、クレアに駆け寄るが、お互いがお互いのある事に気付いて2人で大声を上げた。
「ハンジさん!目、目が…」
「クレア…あ、足が…」
割れたゴーグルのレンズで負傷したのだろうか。
ハンジの左目はクレアの左足と同様に潰れている。
クレアはその負傷具合ですぐに判断できてしまった。
ハンジの左目は、もう失明していると…
「私は大丈夫だ。右目は見えてる!!でもクレア…足が…」
ハンジはクレアの足を潰している瓦礫を動かそうと力を入れるがビクともしない。
「ダメだ…動かない…そ、そうだ…モブリット?モブリットはどうした?!」
「それが、私にもわからなくて……」
「えぇ?!ど、どこだ……」
ハンジが右から左に顔を動かすと、とある場所でピタリと止まった。
「…………」
「ハンジさん…?」
ハンジは黙って指をさす。
クレアは上体を反らしてハンジの指の先を見ると、そこには変わり果てた姿のモブリットが倒れていた。
「ウ、ウソ…でしょ?!モブリットさん……」
爆風で吹き飛ばされて頭から地面に叩きつけられたのだろう。
頭部から大量の血を流し、首は不自然な方向を向いていた。
絶命しているのは明らかだった。