第73章 リヴァイ・アッカーマンの誓い Sideリヴァイ
「さっきはずいぶんと…楽しそうだったな…ほら、もっと楽しんでくれよ…」
膝をついて倒れた獣はうなじだけはと言いたげに右手を使って守っていたが、硬質化が間に合っていないのならこんなの無駄な抵抗でしかない。
俺はこの右手も両手に持った刃で切り刻むと、剥き出しになったうなじを切り裂いてやった。
「オォォォォォォォォォォォォ!」
気色の悪い悲鳴を上げながら出てきた中身の口に刃を突き立て押さえつけると、水蒸気を上げながら忌々しく俺を見やがった。
ツラを確認したが、俺は会った事のない顔だ。
やはりライナー達と同じ様に壁の外の世界から来た人間だろう。
「巨人化直後…身体を激しく損傷し回復に手一杯なうちは巨人化できない…そうだったよな?」
「グッ…グフッ…!!」
「オイ、返事をしろよ、失礼な奴だな…」
「んんんんん……!!!」
口に突き立てた刃の先が右目から出てきたが、こんな程度じゃ死なないのはわかっている。
今すぐ殺してやりたいが…
こいつはまだ、殺せない……
巨人化する注射を使ってこいつの力を奪う。
ただ殺すだけではダメだ。
獣の力を奪ってやれば、壁の外の“脅威”はきっと大ダメージを受けるはずだ。
俺は今すぐ殺してやりたい感情をすんでの所でおさえると、誰か生きてる奴がいないか探した。
瀕死でもいい、まだ息があれば…
この注射を使って巨人にできる。
そいつにこいつを食わせれば“獣の巨人”の力を奪える…
誰か…1人だけ…生き返らせる事が…
俺は…エルヴィンが即死をしていなければ…生き返らせる事ができると…
そんな事を考えてしまった。