第71章 ウォール・マリア奪還作戦
するとエルヴィンは、どこか安心した様な顔でリヴァイを見ると、小さく微笑んで…ゆっくりと立ち上がった。
「これより最終作戦を告げる!!総員整列!!」
エルヴィンの考えていた作戦は、投石と同時に信煙弾を撃ち、命中率を下げながら獣の巨人を陽動するというモノだった。
そしてエルヴィン含む新兵達が囮になっている間に、リヴァイが獣の巨人の周りに突っ立っている巨人達を利用して近づき目標を打ち取る算段だ。
「ここに突っ立っていても時期に飛んでくる岩を浴びるだけだ!!すぐさま準備にとりかかれ!!」
“死ね”と命令された新兵の顔は絶望に染まり、中には膝をついて嘔吐する者もいた。
無理もない。
死ねと命令されて何も感じない人間などそうはいないだろう。
だからこそ、死ねと命令したエルヴィンには大きな役割がある。
彼等が覚悟を決められる様に、そして自分の死が有意義であったと思える様に導き鼓舞しなければならないのだ。
「どんなに夢や希望を持っていても、幸福な人生を送る事ができたとしても、岩で身体を打ち砕かれても…同じだ…人はいずれ死ぬ。ならば人生に意味は無いのか?そもそも生まれてきた事に意味は無かったのか?死んだ仲間もそうなのか…?あの兵士達も無意味だったのか?」
新兵が皆エルヴィンの言葉に注目している。
彼等が勇敢に戦って死ねるように…
今こそ一流の詐欺師に、ペテン師になるのだ。
体のいい方便を並べて、鼓舞し、激励し、立派に死なせなければならない。
エルヴィンは覚悟を決めると志半ばで散っていった仲間達を1人1人思い出しながら…叫んだ。