第71章 ウォール・マリア奪還作戦
「いや違う!!あの兵士に意味を与えるのは我々だ!!あの勇敢な死者を!!哀れな死者を!!想う事ができるのは!!生者である我々だ!!我々はここで死に、次の生者に意味を託す!!それこそ唯一!!この残酷な世界に抗う術なのだ!!理解できた者からすみやかに騎乗せよ!!」
「「「は、はい…!!!」」」
新兵達はエルヴィンの発する言葉に皆涙を流しながらも、少しずつその目に闘志の炎を宿していく。
まだ将来有望な若者だ。
死を命令されるなど絶望以外に何もない。
しかし、どんな状況だろうと兵士は戦う事をやめてはならぬのだ。
そして、エルヴィンは調査兵団の団長である以上、悪魔となり最後まで新兵を騙し、導かなければならないのだ。
「(未来ある若者よ…すまない…)」
エルヴィンは自身の言葉によって鼓舞された新兵達の背中にむかって謝罪の言葉を心の中で呟く。
そして、自分も新兵達を地獄へ導くために…準備を始めた。